腰痛に関連して起こる、ヘルニアと狭窄症。

これらの症状はしびれや間欠性跛行、排せつの障害などさまざまな悩みを引き起こし、患者さんにとっての大きな悩みの種です。

同時に、治療家の先生方を悩ませる原因であるとも言えますよね。


しかし、患者さんも治療家の先生方も苦しんでいるヘルニアと狭窄症は、「痛みに関する研究の専門家」坂戸孝志先生による「緩消法」によって解消できます!

しかも、指1本で症状を消滅させ、再発を防ぐことにまでつなげてくれるというメリット付きです。


「ヘルニアや狭窄症への治療で悩んでいる・・・」

「一度施術をしても症状が戻ると患者さんに言われ、頭を抱えている・・・」

「患者さんに喜んでもらえる施術がしたい・・・」


そんな風に思われている先生方には、ぜひこれからお話しする内容が役立つでしょう。ぜひ、読み進めていってくださいね!

1.ヘルニアと狭窄症について

ではまず、本題に入る前に、ヘルニアと狭窄症についてお話しします。


ヘルニアとはここでの場合、「腰椎椎間板ヘルニア」のことを指します。

背骨と背骨の間をつなぐ椎間板組織が外に飛び出してしまい、神経を圧迫するため、臀部から足にかけて痛みやしびれなどの症状を感じる・・・とよく言われていますよね。


ちなみに、ヘルニアとはラテン語で「飛び出す」という意味を持ちます。

狭窄症とは、「腰部脊柱管狭窄症」のことです。

背骨や椎間板、関節、靭帯などが周辺にある、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて痛みやしびれなどの症状があらわれる・・・とはよく聞きますよね。


長時間歩けない「間欠性跛行」の症状もあります、なお、脊柱管が狭くなることを「狭窄」と言います。


こうして見ていくと、ヘルニアでも狭窄症でも、「神経が圧迫されているから症状が出る」という認識が広く共有されていることがわかりますね。

神経が当たっているから、つぶれているから痛みやしびれを感じると言われてしまう。

しかし、そのような考え方が正しくないケースもあります。

神経が圧迫されると何が起こる?

ヘルニアや狭窄症の原因として、神経の圧迫がよく指摘されますが、ここから「神経が圧迫された結果起こること」についてお話していきましょう。

腰椎4番の断面図から見えること

脊柱管がある腰椎の4番の断面図をアップにしてみると、神経や髄液が見えます。

白く映っているところは神経だと言われるケースが多いですが、こちら、実は水なのです。

腰椎の4番にある水は少ないため、MRIをはじめとする画像検査ではこの断面は黒く見え、ここで管が狭くなっていると言われるのです。


腰椎4番の水はほかと比べて少ないですがそれでも十分にあり、この状態では神経の圧迫は不可能だと言えます。

したがって、この状態で神経の圧迫は起こっていません。

神経は圧迫されても痛みは出ない!?

神経が圧迫されると痛みは出ず、麻痺が出ます。

足に力が入らなくなり、感覚がなくなり、排尿や排便に障害が生まれる状態になります。

この状態で痛みやしびれは出ず、代わりにこのような症状や問題が出てくるのです。

これは医学部で医者を目指す方が習うポイントでもあります。

■ポイント

・ヘルニアや狭窄症は、神経圧迫が原因だと言われているが、そうとは限らない

・神経が圧迫されると、「足に力が入らない」「感覚がない」「排尿や排便に障害が生まれる」状態になる

・つまり、神経が圧迫されているからヘルニアや狭窄症の症状が起こるのではない

2.ヘルニアと狭窄症の原因とは?

ヘルニアと狭窄症は神経の圧迫が主な原因だと習ってきた先生方も多いかと思われますので、今回お話しした内容に驚かれている方も少なくないかもしれませんね。

では、ここからは「ヘルニアと狭窄症はなぜ起こるのか?」、根本原因についてお話していきます。


その前に、「なぜ痛みを感じるのか?」についてご説明しましょう。

この仕組みがわかれば、ヘルニアと狭窄症の根本原因がはっきりしてくるはずです。

私たちが痛みを感じるしくみ

例えば、足の親指が痛いとき、脳がその状態を判断しています。

脳と足の親指はずいぶん距離が離れていますが、神経が電気信号を使って脳にまで痛みを伝えているのです。


神経について簡単にお話しすると、神経には「先端」と「末端」があります。

先端に何か異常があった場合にはそこで電気が発生し、脳に電気を飛ばします。

結果、脳が「どこから来た痛みなのか?」を判断して、足の親指であれば「足の親指が痛い」とわかるようになる・・・これが痛みを感じる仕組みです。

慢性痛と神経の関係とは?

神経が脳に信号を送る形は、急性痛と慢性痛によっても異なります。

「お腹が痛くなって下痢になる」「冷や汗をかく」「脂汗をかく」場合は、急性痛です。

急性痛の電気信号を送る神経の線維のことを「Aδ線維」といい、慢性痛の電気信号を送るときには「C線維」が働きます。

治療家の先生方は慢性痛への対応をされていますので、今回は慢性痛についてお話を進めていきますね。

半月も1カ月も、あるいは1年もだらだらと痛みが続く慢性痛には、神経の先端からC線維が機能しています。


ここで神経圧迫が起こるお話に戻すと、神経の「軸索(中間)」では電気が発生しないため、プチンと切れてしまっても痛く感じることはありません。


電気信号が送られない限り、脳は痛みをとらえられないため、神経が圧迫されたからと言って慢性的な痛みやしびれが生まれる・・・ということはないのです。

慢性的な痛みやしびれは筋肉の緊張から来ている!

「それなら、ヘルニアや狭窄症の症状はどうして起こるの?」と考えていくと、筋肉の緊張が関係しています。

筋肉の緊張はヘルニアや狭窄症の根本原因になるのはもちろん、きちんとアプローチしなければ改善にはつながらないため、ここでしっかりと覚えておきましょう。


もう一度神経のお話をすると、痛みを感じる神経の先端は筋肉と腱、靭帯、幕などにあります。

そして、慢性痛の電気信号を送ることができる場所は、筋肉にしかありません。

こうして考えると、慢性的は筋肉から来ていて、緊張が大きく関係していることがわかります。


筋肉が緊張すると縮む力が働き、血管が圧迫されて血行不良が起こり、痛み、しびれ、冷え、突っ張り、むくみ、だるさなどの症状があらわれます。

血液の流れが悪くなるために起こっているわけですね。


そのため、ここで筋肉を軟らかくして血液の流れを良くしてあげると、これらの症状は治ります。

筋肉を軟らかくすることが、ヘルニアや狭窄症のキーポイントなのです!

■ポイント

・神経の先端が脳に電気信号を送ることで、私たちは痛みを感じる

・慢性的な痛みには、C線維が脳に電気信号を送る

・神経が圧迫されても脳に電気信号が送られないため、痛みを感じない

・慢性痛の原因は筋肉の緊張による血管の圧迫から来ている

・筋肉を軟らかくすれば、ヘルニアと狭窄症を改善できる

3.指1本だけ!ヘルニアと狭窄症のらくらく改善法

ヘルニアと狭窄症は、筋肉を軟らかくすることで改善できます。

ここで両方を楽に治す方法、緩消法をご紹介していきます。

ヘルニアに対しては、腸骨稜周辺の筋肉にアプローチ

ヘルニアの症状に坐骨神経痛がありますが、この場合では腸骨と骨盤のもっとも上にある骨、腸骨稜周辺の筋肉へのアプローチが大事です。

これらの筋肉が固まっていると、痛みやしびれなどの症状が出てきてしまいます。


腸骨稜周辺の筋肉に親指の第一関節を押すようにあてると、太ももにズシンと響くような痛みを感じます。

このまま筋肉を伸縮させて、身体を左右に3往復倒してください。


3往復繰り返したら身体をまっすぐな状態にして止め、2秒以上間隔を空けて同じ場所か指を移動させて緩消法を繰り返します。

間隔を空けずに次の動きをしてしまうと、かえって筋肉を硬くしてしまうリスクもあるため、必ず休みをはさんでくださいね。

これらの動きを続けていくと、筋肉の緊張が和らいで血流が改善され、臀部や太ももの痛みがなくなっていくのがわかるでしょう。

慌てずに落ち着いて試すことで、効果を実感できるようになります。

狭窄症に対しては、腰椎の4番~5番付近にある筋肉にアプローチ

狭窄症での間欠性跛行がある場合は、腰椎の4番から5番のすぐ横、3センチから5センチの場所にある筋肉の緊張にアプローチします。

これらの筋肉が緊張することで症状が起こっているためです。


狭窄症への緩消法では、これらの筋肉に注目しましょう。

やり方はヘルニアの緩消法と同じで、筋肉の緊張している部分に親指の先を当て、左右に3往復倒します。

2秒ほど休んだら、同じ場所か近い場所で再び緩消法をおこないます。

腰椎の真横から順番に、筋肉を軟らかくしていきましょう。

腰の筋肉が軟らかくなると・・・!?

腰の筋肉をどんどん軟らかくすると、腰椎の横突起にまで指が触れられるようになります。

触れるところまで筋肉を軟らかくすれば、10センチほど指が入る状態にまでなるので、その状態を目指してくださいね。

ここまでの状態になれば、痛みもしびれも、間欠性跛行もなくなり、再発を防げるようになっていきます!

■ポイント

・ヘルニアにも狭窄症にも、緩消法が有効

・ヘルニアの場合は、腸骨稜付近の筋肉に緩消法を使う

・狭窄症で間欠性跛行が出ている場合には、腰椎の4番~5番のすぐ横にある筋肉に緩消法を使う

・腰の筋肉が軟らかくなれば、痛み、しびれ、間欠性跛行などの症状が改善され、再発も防げる

4.最後に・・・

いかがだったでしょうか?

神経圧迫が原因とされ、根本改善が難しいとされてきたヘルニアと狭窄症は、実は筋肉の緊張による血行不良から来ているものなのです。

そして、根本原因である筋肉の緊張を緩消法で改善すれば、痛み、しびれ、間欠性跛行を消滅させ、再発も防げるようになります。


原因となる筋肉にアプローチできれば、ヘルニアも狭窄症も短時間で良くなります。

慌てずに落ち着いて緩消法をおこない、辛い症状を楽にしてあげてくださいね!

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