腰椎の横突起に触れるくらいに腰の筋肉を軟らかくされた坂戸先生の腰は、触れた経験がある方なら、その場で驚いてしまうほどの軟らかさです。
そこまで軟らかくしようと思った理由は、一体どこにあるのでしょうか?
また、「腰の筋肉をすべて軟らかくして、痛みを再発ゼロの状態にする」という理論は、どのように生まれたのでしょうか・・・?
そこで今回は、緩消法サポート事務局の伊藤が、坂戸先生に直接インタビューしました。坂戸先生自身が現在の結論にたどり着いた、まさに狂気とも言える実験の裏話を公開します!
1.自分の神経を押しつぶすための、身体を使った実験だった!?
伊藤「今回、『なぜ腰椎の横突起が指先で触れるまで筋肉を弛緩すれば、慢性痛は再発しないという結論に至ったのですか?』という質問をいただいています。
どのようにして『腰椎の横突起まで触れられる状態になると良い』という理論が生まれたのか、教えてください」
坂戸先生「わかりました。実は、腰椎の横突起にまで触れるようにしたのは、再発ゼロの状態にする目的は関係なかったのです。
横突起まで触れるようになっただけで、再発が絶対にないかと言えばそうではないですし」
伊藤「そうなのですね?」
坂戸先生「はい。まだ緊張しているところが残っていれば、また別の話になってきますからね。
基本的には腰の中を全部軟らかくしたら、私たちが身体を動かしている以上は固まらなくなる、ということです」
坂戸先生「私自身、腰椎の2番と3番の横突起を触れるようになるくらいにしか軟らかくしていませんし。
それ以上やる意味と必要がないと思いました」
坂戸先生「もともと自分の身体を治したいがために腰椎の横突起に触ろうとしたわけではなく、実験のためだったのです。
『腰の中の神経を押しつぶすと、どのような状態になるか?どのようなことが起こるか?』を知りたくて、腰の筋肉を軟らかくしました」
伊藤「そのために、腰椎までに指を届かせようとしたのですか?」
坂戸先生「はい。そうでないと神経を押しつぶすことはできないですから」
伊藤「・・・自分で自分の神経を押しつぶすために、腰椎の横突起に触れるまで筋肉を軟らかくしたということですか?」
坂戸先生「はい。それができないと、寝たきり状態の患者さんを治せないからです。
一般に西洋医学や解剖学の世界では、寝たきりで動けない患者さんを治すのは不可能なことであって、そんな状況下にいる患者さんが多かったのです」
坂戸先生「私も教科書上でしか勉強したことがなくて、患者さんにまだ施術した経験もなかったですし。
でも教科書通りにやると、おかしい、ずれていることが沢山見つかってきました。
そこで世界の解剖学者4人が書いた神経の系統図を見ると、4人とも違うことを書いているんですね」
伊藤「そうなのですね」
坂戸先生「人によって違うから神経の系統図も違うのかもしれませんが、実際に治せない、治らない状態は変わらなかったのです。
そこで教科書の内容が信じられなくなって、一度教科書を閉じて、自分で一から調べてみようと。
それを可能にするには、は自分で神経を見つけて、腰椎の突起に押しつぶすしか方法がないと。
そこで腰椎の横突起にまで触れるようになって神経を押しつぶしてみたら、いくつか違う発見があったのです。結構大胆なことをしたと思いますよ」
伊藤「自分で本当に調べてやってしまったんですね!?」
坂戸先生「はい、面白いことをたくさんやりました。
それで、教科書に書かれている内容が違うとわかり、患者さんのところに戻って私の発見を試してみたら、寝たきりの状態から立てるようになりました。
その繰り返しですね」
・・・腰椎の横突起まで自分で触れてしまうほど、腰の筋肉を軟らかくした坂戸先生。
そこまで軟らかい状態になると症状が再発しなくなるものの、当初は治す目的ではなく、人体実験に近い試みだったのですね!
2.一度横突起に触れるまで軟らかくしていれば、もう硬くならない!?
坂戸先生「私自身、腰椎の横突起の2番、3番しか届いていない状態で、また触れてもいません。
過去に痛み止めをたくさん飲んだ経験があるからか、まだ硬く石灰化している場所もあります。
でもご存知のように、私の筋肉は硬くならないですからね。また、身体に症状が出ているわけでもないので、今は放っておいています」
伊藤「『今でも十分健康だから、いいか』みたいな感じですか?」
坂戸先生「はい。問題がないので気にしていません。
筋肉の硬さが戻ってしまうこともありませんからね。
そして硬さが戻らないのには理由があって、私たちが動くからなのです。
突起のところまで軟らかくしたら腰から内側の筋肉は硬くても、薬などを使わないで筋肉が硬いだけなら、もう確実に動けるようになっています。
だから、固まり切ることはなくなるのです」
坂戸先生「人間の筋肉って、赤ちゃんのときに硬くなっているのです。
腰方形筋あたり、基本的には横突起、肋骨とか、つまり横突起の外側の筋肉が硬くなっている。
硬結状態というか拘縮状態が起こってしまっているわけです。
ただ赤ちゃんはまだ発達段階にいるので、内側の筋肉はそれほど固まっていません。
前後で動いているから、横突起の内側の筋肉はある程度は動かせますよ」
坂戸先生「でも腰方形筋あたりの5センチくらいが固まっていると動かせないので、横突起まで触れるようになるといいです。
そこでほとんど自力で動けなかったのに動けるようになりますし、後は身体を動かしている以上は固まらないので大丈夫です。
簡単に考えるとそういう話で、結論に達したと言えば、そういう答えになりますね。
横の動きをさせるときに、腰方形筋だけを動かすと、前後はある程度動きます。腰方形筋あたりは前後してもほぼ伸縮しないのです」
伊藤「なるほど」
坂戸先生「筋肉を伸縮させないと固まってしまうのですが、突起まで触れればもう大丈夫です。
筋肉が傷ついていない限り、硬さが戻ることはありません。
普通に腕の力こぶができるほどの硬さにはなるが、痛みを発しないので問題ありません。
カチッと固まったり、慢性的な痛みが再発したりすることは、ないですね」
・・・「一旦腰椎の横突起に届くくらいに腰の筋肉を軟らかくしても、また元の硬さに戻ってしまうのではないか?」とは、不安に思われる治療家の先生方も少なくないでしょう。
しかし、坂戸先生が自身の身体で確信しているように、身体を動かしている限りは硬くならないということです!
3.まとめ
腰椎の横突起まで指で触れてしまうほど、腰の筋肉が軟らかい坂戸先生。そこまでにたどり着いた背景には、「自分で自分の神経を押しつぶしてみる」という、まさに狂気とも言える目的があったのには驚きです!
ただ、その発見によって緩消法が生まれ、多くの慢性痛や症状に悩む患者さんが救われたことも事実。緩消法の今後の展開が楽しみですね!